(死の恐怖についての解説)

「死の恐怖」というのは森田療法においてパニック症候群などの症状の背景にあるものと位置づけられています。

森田正馬先生は神経質性格の人間は人一倍、「生の欲望」が強いために、これに比例して「死の恐怖」も強いと言っています。

そして、この「死の恐怖」だけに目を向け、これを取り除こうとしてしまうところから、パニック症候群などの症状が起こってくると言っているのです。

対人恐怖症や社会不安障害などの場合は社会的な意味での死の恐怖が背景にありますが、パニック症候群の場合は、直接的な死の恐怖が背景にあると言って良いと思います。

つまり、症状を感じた時に、「このまま死んでしまったらどうしよう」とか、「気を失ったらどうしよう」といった形で肉体的な死の恐怖を感じるものなのです。

そして、このために、ますます動悸や息苦しさと言ったパニック発作の症状を強くすることになってしまうものなのです。

このため、森田療法においては、パニック発作が起こった時に「また来たな」と動悸や息苦しさを自分の「クセ」のように受け止めていくと良いと言っています。

つまり、このように受け止めると、「このまま死んでしまったらどうしよう」と死の恐怖を感じにくくなるものなのです。

また、実際に、パニック発作のために死んでしまったり、体に障害を残すようなことになった人は、未だかつて一人もいないのです。

そして、パニック発作の症状がどんなに強くても10分以内には収まってくるものなのです。
ですから、これらの事実を踏まえた上で、「また来たな」と受け止めるようにしていくと良いのだと思います。

そして、この上で、目の前の「なすべきこと」、つまり、電車に乗っている時であれば、そのまま電車に乗っているようにすると良いのです。

こうすることで、パニック発作の症状を「あるがまま」に受け止めることが出来るものなのです。